俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 ごった返していたエントランスの人が疎らになりだした。

 チャンスとばかりに暁は、女性に気づかれないように足音を消して近づいた。逃げ道を塞ぐかのように立った暁が言葉を発する。

「芹、見つけた」

「えっ?ギャッ」

 いきなり声を掛けられ驚いたと同時に、顔を上げ声の主を見てあからさまに嫌な表情を全面に出してしまう。

「歓迎されていないようだな」

「すみません。人違いです」

 何とか逃れようとするが、暁が立ちはだかり進めない。

「間違いないよな。成宮芹だな」

「……」

 芹は、あることに気を取られ油断した自分を後悔する。あれだけ、警戒していたのに……。

 万が一自分が探されていたらと思っていたのに……。

「ここでは目立つ。一緒に来てもらおうか」

「お断りしたら?」

「そうだな。明日からも待ち伏せして、大勢の前で声を掛けようか?」

 恐ろしい脅しをする。今は、人が引いたあとで良かった。

 

 
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