俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「乙女ゲームみたいだな」

「乙女ゲームって、うちにもあったな」

「ああ。女性がプレイヤーでイケメンと恋愛するゲームだな。これは、うちのゲームのソフトではなく、スマホ用アプリだな」

「……。それは面白いのか?」

「俺に聞くな」

「で、そのゲームの中のやつに、俺が似てるのか?」

「わからん」

 だが、その後も何度も声を掛けられる。辟易してくるが、芹を見つけるまではと我慢する。普段の暁では考えられない。

 その時、少し離れた所でざわつき出した。

「今度はなんだ?」

 暁がそちらに目を向けると、ひとりのコスプレイヤーがたくさんの人に囲まれているようだ。声を掛けられ写真をせがまれている。だが、囲まれている人物は小柄なのか暁からは顔が見えない。

「きゃ〜、芹奈さんだ」

「ホントだ。芹奈さ〜ん」

「芹奈ちゃ〜ん」野太い声まで混じる。

 男性にも女性にもモテモテのようだ。

「芹奈……」

 自分が探している人物に似た名前。騒がれる程の容姿。なんとなく予感がした。

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