俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 確かめるべく、人集りの方へ向かった。芹奈という名前と暁の野生の勘で、胸が高鳴る。今までに経験したことのない高揚感だ。

 長身の暁は、やっとの事で中心にいる人物の姿を捉えた。小柄な可愛い女性だが、よく見ると見覚えのある顔。芹を探してエントランスで観察していた時に、今の姿に近い化粧の芹を見たのだ。

「見つけた……」無意識に呟いていたようだ。

「何を?」

「芹がいた」

 今までの不機嫌さが嘘のように笑顔を見せる暁だが、駿は身震いする。駿にしか分からない、初めて見せる暁のこの表情。獲物を見つけた目をしている。こんなに、何かに執着し欲する暁を見たことがないのだ。

 そして、芹を少し気の毒に思う。もう、暁から逃げることは不可能だろう。普段から物や人に執着しない興味を示さない男が、本気になったらどうなるのだろう……。

 楽しみでもあり不安だ。

 どういう展開が待っているのだろう。考えながら暁に視線を戻すと、今度は嫉妬に燃える目をしている。

 どうやら、『芹奈』としての芹は、かなり有名で人気があることがわかった。



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