俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「芹奈さん、握手して下さい」

「芹奈ちゃん、一緒に写真撮ってくれ」

 男女関係なく競い合うように、芹の取り合いをしている。一体芹は何者なんだと、自分の知らない芹を見た驚きと、人を惹きつけている嫉妬など、今までにない感情が次から次へと溢れ出す。

 そして、気がついた時には勝手に体が動いていた。

「おい」

 腹の底から湧き上がる嫉妬の声が、思いのほか響き渡り、辺りの視線は一気に暁に注がれる。

「えっ!?」

 まさかの暁の登場に驚き固まる芹と、嫉妬の炎に燃える暁。

「きゃあ〜」「何〜?」「素敵〜」と次々に声が上がる。

 周囲は、ハピカレの廉のコスプレに見える暁が、このイベントのナンバーワンの人気を誇る芹奈と並んだことで、一気に注目を集めたのだ。

 目立つツーショットに、カメラを持った人達が更に集まりだす。

 嫉妬で無意識に声を掛けたが、まさかこんな公衆の面前で不機嫌丸出しで暴れるわけにもいかず、一気に冷静になる。

 しかも、暁は新城堂の社長なのだ。今は気づかれていないが、後々気づく者も出てくるだろう。

 
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