俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「廉くんに旬くんだったか、その流れで俺の名前も言ってみろ」

「ブハッ、暁、お前面白すぎだろう」

 駿の笑いは止まらない。

「お断りします」

 そんなふたりのやりとりをよそに、はっきりと断る芹はある意味勇者かもしれない。

「じゃあ、言いたくなる状況に追い込むか?」

 物騒な物言いで壁ドンならぬ、後部座席で芹に迫る。

「ちょっ、何するするのよ」

「ほら、キスされたくなかったら、俺の名前呼んでみろ」

「はあ?嫌ですが」

「じゃあ」と口を近づけてくる暁に思わず「ぎゃあ」と悲鳴をあげる。

「暁、いい加減にしろ」

 呆れた駿が止めに入ってくれるが、今度は暁が不貞腐れている。

「面倒くさい人ですね」

 ボソッと芹が呟いた声が、思いのほか車内に響いた。

「……」「ブハッ」

 黙り込む暁と笑いの止まらない駿。

「あっ」まさか聞こえると思っていなかった芹は、自分の口を覆うがもう遅い。

「成宮さんごめんね。俺も、こいつがこんなに面倒だとは思わなかったわ」

「どういう意味だ?」




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