俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「痛っ〜い。なんで?何かに引っ掛かったんだけど〜え!?」

 暁の苛立ちを感じつつも、起き上がりながらひとり言を呟く女性に、駿は内心笑いが込み上げる。

 そして、女性も周囲からの視線を感じたのかオロオロしているように見えた。

 その時、駿の後ろにいたはずの暁が動き出した。

「おいっ」

 駿には声だけでかなりの苛立ちが伝わる。

「え!?」

「お前、わざとか?恥をかいてまで俺の気を引きたいのか?」

「……。えっ!?だ、誰?」

 暁の怒りに対しての女性の反応があまりにも意外すぎて、暁や駿だけでなくその場にいた野次馬達まで驚いたのはいうまでもない。

 暁は微妙な顔つきで、女性の前まで行きなんと片膝をついてしゃがみ女性に目線を合わせたのだ。

 次の瞬間、駿は暁の表情を見逃さなかった。一瞬目を見開き驚いた表情の後、口元が微妙にだが上がったのだ。普段の暁からは考えられない嬉しそうな表情。

 そんな暁の変化に気づくわけのない野次馬達には、何ともいえない緊張感が漂っていた。



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