俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「それよりも、呼び方を変えてくれ」

「……。無理です」

「廉くんは普通に言えてるじゃないか」

「廉くんはリアルじゃないから言えるんです」

「暁くんって言ってみろよ」

「絶対無理!」

「まあいい、そのうち必ず言わせてみせる」

 俺様でゲームの中の廉くんと同じキャラの暁。マンションは、期待を裏切らないオシャレで広く綺麗に片付けられている。

「社長はここに一人でお住まいですか?」

「やっと俺に興味を持ったか?」

「いえ、広すぎるこの空間に一人って寂しいなぁと」

「……」

 広い高級マンションに住んでいると、羨ましがられることはあっても寂しいと言われるのは初めてだ。

「掃除も大変そうだし、光熱費も高そう……」芹がひとり呟く声が聞こえ、笑いそうになる。

「掃除は週に二度、業者に入ってもらっている。光熱費は、引き落としだから金額は確認したことがない」

 芹のひとり言に答えてみた。

「えっ??私、声に出してました??」

「クッ、アハハハハハッ。無意識か」

「恥ずかしい……」

 可愛い芹の一面を見れて満足の暁だった。


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