俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 すっかり社長のペースで時間が過ぎていく。帰るタイミングが分からない。

「社長、あの〜」

「暁だ。で?なんだ?」

「そろそろ帰りたいのですが……」

「はあ?何言ってるんだ?シェフにディナーをお願いしているし、明日は休みにしてもらったんだ。泊まっていけよ」

「な、な、なにを!?泊まる?ないないない」

「そんな全力で嫌がらなくても」

「男性の家に泊まるなんてありえません」

「じゃあ、俺が初めてだな」

 ニヤニヤが止まらない社長を尻目に、どうやって切り抜けようか頭を悩ませる。

 やはり、俺様御曹司様はゲームでもリアルでも強引でやり手だ。しかも、私好みの旬くんの特徴のツンデレ要素も織り混ぜてくる。何よりもイケメンなのがズルイ。

 私の比較対象はハピカレしかない。まさか、ハピカレの登場人物に近い人物に出会うなんて思いもしなかった。いつもは思ったことを言い、人に流されることはないのだが、俺様の対処の仕方がわからない……。

 流されてはダメだと本能が告げている。何とかして帰らなければ……。
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