俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「俺を知らない?そんな訳ないだろう?このオフィスビルで働いてるよな?」

 若干言葉はきつく感じるが、暁からは期待が伺える。

「は、はい。あの〜眼鏡が……」

「はあ!?」

 暁は素っ頓狂な声を上げる。いつも冷静な暁には珍しい。

 駿は、先程から気づいていた女性の飛んでいった眼鏡を拾いふたりに近づいた。

「こちらでしょうか?」

「あっ、すみません。ありがとうございます」

 素直にお礼を言いながら眼鏡を掛けた女性の反応が面白すぎた。

「し、し、し、新城社長〜」

 絶叫がエントランスに響き渡った。本当に暁だとは、気づいていなかったようだ。

 大勢の前であの転け方は、面白すぎる。

 小動物のように、ちょこちょことした動きで立ち上がった女性は、かなり小柄なお人形のように可愛い子だった。だが、眼鏡を掛けた途端素顔が隠れると地味なイメージになる。

 そこからが、更に面白かった。

「新城社長、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。お見苦しいところを見せてしまいました。本当にすみませんでした」

 謝りたおしたと思ったら、ちょこちょこと森へではなく、エレベーターの方に走って逃げて行った。

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