俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 必要最低限の荷物を詰めている横で、暁は先程のコスプレをまだ眺めている。何を考えているのか、時々ニヤニヤしているように思う。あまり表情は変わらないが、芹にも少しの表情の変化がわかるようになってきた。

 俺様御曹司様のイメージが崩れていくが、親しみがわく。廉くんは二次元の方がいいのだが、知れば知るほど廉くんと旬くんの間の絶妙な位置づけに暁くんがいる。

「お待たせしました」

「すぐに必要なものは持ったか?」

「大丈夫だと思う」

「近いから、すぐに取りに帰れるから大丈夫か。買えるしな」

「荷物になるけど、ミシンは持って行ってもいい?」

「ああ」

「どうしても、ないと落ち着かなくて」

「じゃあ、行こう」

 スーツケースを芹が引き、反対の手を暁が繋ぎ、ミシンは暁が持つ。

「戸締まりを忘れるなよ」

「はい」

 しっかり確認し、マンションを出て暁の車に乗り込んだ。

 暁は、芹に気づかれないように周囲を警戒する。特に見られている視線は感じない。

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