俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 最上階に着くと、エレベーターの音に気づいたのか駿がリビングから出てきた。

 暁に抱かれた眠る芹を見て、驚きで目を見開き固まる。

「あ、あ、暁が」思わず大きな声が出た。

「シ〜ッ」と暁に静止される。

「あっ、ああ。すまない」

 普段の駿からは考えられない動揺ぶりに、笑いそうになった。

「寝室に連れて行く」

「えっ?客室のベッドも準備出来てるぞ」

「もし夜に起きたら心配だから」

「……」

 寝室の方が心配だと思うが、一連の芹に対する暁を見ていると、大丈夫かと思った。

 優しく寝室のベッドに寝かせ、暁は名残惜しいが寝室を出て、リビングに戻った。

「どうだ?」

「ああ。全く起きない。車に芹の荷物があるんだ」

「後で運んで玄関に置いて置くよ」

「サンキュー」

「何か成長したな〜」

「はあ?」

「成宮さんと関わってから、急にまともになった」

「お前は失礼になってる」

「俺は嬉しいんだよ。暁に、人としての大事な感情が出せる相手が現れて。素の暁が、俺以外の前で出るなんて、一生来ないと思っていた」

 幼馴染だからこその言葉に、暁も素直に受け入れられる。この気持ちを大事にしたい。

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