【完】ハッピーエンドに花束を
そして先に席に戻ってきていた暁人に声を掛ける。
「お待たせ」
気付いた彼は、私からチキン南蛮に視線を移した。
「そっちも美味しそうだね」
「うん。ひと口食べる?」
「じゃあ交換しようよ」
賛成、と告げて2切れの鶏肉を暁人のお皿にうつす。そして彼の唐揚げもひとつもらった。
「いただきます!」
手を合わせて、箸を取る。
向かいで昼食を食べいる彼を盗み見てはにやけた。何だか本当にカップルみたいだなと、そう思うだけで口角が上がってしまうのだ。
彼氏って素晴らしい。彼氏の存在だけでこんなにも優越感が味わえるだなんて知らなかった。
それぞれたわいもない話をしながら、終盤まで食べ進めた頃。先に全部平らげていた暁人は最後にお茶を飲みながら「あのさ、」と口を開く。
「放課後、何か用事ある?」
「ううん、何もないけど」
「学校終わったら、買いたいものがあるんだけど付き合ってくれないかな」
まさか暁人の方から誘ってくれるとは思わなかった。嬉しくて「もちろん」と二つ返事で返す。
どうやら従姉妹が今度高校に入学するらしく、そのお祝いを買いたいとのことだった。女兄弟がいなくて何を買えばいいのか分からないらしい。
「任せて!役に立てるか分からないけど、一緒に行くよ」
「ありがとう」
じゃあHR終わったら、教室まで迎えに行くから。
その言葉通りに迎えに来てくれた彼氏の登場で、クラスメイトに冷やかされたのは言うまでもない。