【完】ハッピーエンドに花束を

「いろいろ女の子って大変だね」
「最近は男の子でもメイクする人いるんだよ」

 某有名ブランドの化粧品売り場に行って、お目当てのものを探す。
 保湿力が高いバームタイプのリップを手に取った。普通のリップに比べると色もナチュラルだし、ほんのり色付く程度だから学校で使ってもバレないだろう。

「芽依もお化粧とかするの?」
「軽くね。パウダーして、軽くリップ付けるくらいかな」

 でも大学生になるんだからちゃんと一式そろえないと、そうふんわり考えながら、リップの色を選んでいく。
 とりあえず万人受けするピンクがいいだろう。しかしピンクだけでも何種類もあるから、ここからが大変だ。

「うーん・・・多分イエベなんだよなぁ」

 私的には従姉妹さんはイエローベースの春、だと思う。写真だから確実とは言えないけれど、と結局は店員さんに助けてもらうことにした。

「少しコーラル味のあるピンクか、オレンジがかったピンク・・・うーん、どっちかなぁ」

 店員さん的にもイエベ春だろうということで、悩んでいた2色をどちらともをオススメしてくれた。あとは好みの問題だと言われて、一層迷ってしまう。

「ごめんね、私勝手に悩んじゃってるけど。ちなみにこんなリップでも大丈夫かな?ダメだったら別の考えるよ」
「いや、正直全部任せたいくらい。そのまま決めてくれるとありがたいよ」

 そう言われて、結局私はコーラル味のあるピンクを選んだ。雰囲気的にこちらの方がしっくりくるような気がする。
 それに期間限定色だという情報も決定の後押しになった。やっぱり女の子は期間限定という言葉に弱いものである。

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