【完】ハッピーエンドに花束を
映画館を出て、適当にショッピングセンターを回る。ぐるぐるとしばらくく館内を回っていると、突然暁人は「あ、」と何かを見つけたように声を上げた。
「少し、遊んで行かない?」
そう言って指をさした先は、ゲームセンターだった。
少し意外だった。あまり彼がゲームセンターで遊んでいる姿を想像出来ない。しかし話を聞いていると、なんと暁人の特技はクレーンゲームらしいのだ。
「本当?私下手で全然取れないんだよね」
「コツを掴めば案外簡単だよ」
そして彼は一台のクレーンゲームの前で足を止める。大きな箱の中に閉じ込められているソレを見て、私は思わず声を上げた。
「これって」
「この前好きって言ってたよね」
中に入っていたのは、私が好きな有名な犬のマスコットキャラクターの人形。手のひらサイズで山のように積み上がっており、こちらから見ると結構シュールな光景である。
「うん。よく覚えてたね」
少し幼いかなと思うけれど、何だかんだ小物類はその柄でそろえてしまうくらいには好きなキャラクターだった。
確かに数日前の帰り道。期間限定で開催されているポップアップストアのチラシを見て、好きなのだと暁人に言ったような気がする。
財布を取り出した彼に、思わず「待って、」と声を掛ける。