【完】ハッピーエンドに花束を

「今日の記念。せっかくだから暁人に持っていてほしいな」

 押し付けがましいかなと思いながらも、形だけでも彼とお揃いのものが欲しかった。すると彼は「分かった」と嫌がらずに受け取ってくれる。

「せっかくだから学校のカバンに付けようかな。俺にはちょっとかわいすぎるけど」
「何か言われたら『彼女に無理やり付けさせられた』とか何とか言っていいからね」


* * *


 ひと通りお店を回ったその後。「喉が渇いたね」と、私たちはカフェでドリンクをテイクアウトをした。
 イートインスペースは満席で別のカフェを探す話にもなったが、天気も良いから河川敷の方に行ってみようということになったのだ。
 まだ寒さの厳しい冬だけど、今日は日差しがあって少し暖かいくらいである。

 しばらく歩き続けて、ゆっくり話せそうなスペースに腰を下ろした私たちはカフェオレと一緒にテイクアウトしたドーナツを半分こにした。

 せっかくだから写真を撮っておこうと携帯を取り出そうと、バッグの中に手を伸ばす。
 そして目当ての携帯とともに忍ばせていた例のものを一緒にそっと取り出した。

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