【完】ハッピーエンドに花束を
「あのさ、」
隣でカフェオレを飲んでいた暁人は「ひとつ聞いても良い?」と尋ねた。
「何で俺のことを好きになってくれたの?」
「またその質問?」
告白した時にも同じ質問をされた。その時は適当にはぐらかしてしまったことを覚えている。
「どう考えても俺たちって接点なかったから、ずっと不思議だったんだ」
そう言われて、私も「そうだよね。うーん、いつだったかなぁ」と過去のことを思い返した。
「暁人ってさ、相馬くんと仲良かったよね」
「うん。中学校からの仲だけど、相馬がどうかした?」
突然出てきた友人の名前に「?」を頭に浮かべた暁人。
「相馬くんってさ、入学した頃から学校の中でも有名なインターハイ優勝候補選手だったじゃん」
「走り高跳びのね。でも、去年のインハイの予選でけがをして引退したんだよ」
「うん。その年の秋・・・9月の終わり頃かな」
たまたま聞こえちゃったんだよね。と、たまたま近くに居合わせたことを伝える。
優勝候補だと有名大学の監督からも注目されていた相馬くん。
彼は優勝出来るはずだったインハイの予選でけがを負ったのだ。原因はオーバーワークの積み重ねによる疲労骨折だとうわさで聞いた。
けがの具合が相当悪かったらしく、その後彼が競技に戻ることはなかった。
学校全体をあげて応援していたから、その分教師を含め全員を落胆ぶりは凄かったのを覚えている。