【完】ハッピーエンドに花束を


「お待たせ。麦茶しかなかったけど良かった?」
「大丈夫。ありがとう」

 お茶を持って上がってきた暁人はローテーブルに2つ並べる。そして添えるように隣に置かれたのは、某有名店のプリンだった。「昨日父さんが職場でもらってきたんだ」と、フローリングの上に腰を下ろした。私も写真から離れて、彼の隣に腰を下ろす。

「昨日の卒業式の通し練習、長かったよね」
「うん。途中居眠りしてたもん」
「俺も。気付いたら校歌斉唱だった」

 たわいもない話をしながら、プリンを食べる。さすが雑誌に掲載されているだけあって、とても美味しかった。反応が良かったからか「まだ冷蔵庫にあるから持って帰ってもいいよ」と笑う。

「そこまで食い意地はってないから!」
「ごめんごめん。でも芽依が良ければ持って帰ってよ。賞味期限今日までだし、一人じゃ食べきれないからさ」
「それじゃあ・・・お言葉に甘えて」

 それから私たちはだらだらとお喋りを続けていた。昨日見たテレビの話や、最近気になっているミュージシャンのこと。また卒業間近だからと告白ラッシュが続く同級生たちのゴシップネタ。何らいつもと変わらない私たちの会話である。
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