【完】ハッピーエンドに花束を

 どうやら変に緊張していたのは私だけだったらしい。そう思うとだんだん気が解れてきて、話は中学校時代の話に移り変わる。

「え、暁人剣道部だったの?」
「うん。一応これでも部長だったんだよ」

 何と彼は運動部所属だったのだ。高校では文芸部に所属していた暁人に運動部のイメージが全くなかったから、とても驚いてしまった。
 どうして高校でも続けなかったのかと尋ねると「ウチの高校、剣道部ないからね」と告げる。詳細を聞くと私たちが入学したと同時に廃部になったらしい。

「芽依は?何部だったの」
「私は書道部だったよ。がっつり文化系」
「何となく想像つくよ。字、綺麗だもんね」

 褒められて嬉しくならないわけがない。ありがとう、とへらりと笑った。

 彼とは随分仲良くなったつもりではいたけど、まだ全然知らないこともたくさんあるんだな。と、そう思いながらふと視界に入ってきたのは“卒業アルバム”だった。

「ね!中学校の卒アル見てもいい?」
「いいけど・・・見ても楽しいものじゃないよ?」
「それでもいいよ」

 すると暁人は、アルバムを取ってきてくれた。受け取ってふかふかなベッドの上に腰を落ち着ける。実はフローリングにずっと座っていたからか、お尻が少し痛くなってきたのだ。
< 29 / 41 >

この作品をシェア

pagetop