【完】ハッピーエンドに花束を
「やっぱり優しいね、望月くんは」
「やっぱりって・・・俺花村さんに何かしたかな?」
「私たち今日が初対面だよ」
困惑している望月くんは「それじゃあ何で俺なんか好きになったの」と聞いてくる。
「俺“なんか”じゃないよ。望月くんだから、好きになったんだよ」
答えになっていない、そう云わんばかりの表情の彼に私は告げた。
「それに、人を好きになることに理由っている?」
「・・・えっと、」
「ふふ、ごめん。これは一度言ってみたかっただけ」
そう言って少しおちゃらけたように笑うのは、自分でも好きになったきっかけがよく分からないからだ。ふと気付いた時には好きになっていた、なんてよく漫画やドラマでもある話だろう。
「ごめんね、突然呼び出して告白なんかしちゃって。迷惑だったよね」
「いや、それは別に」
そして望月くんは「それで、」と首をかしげる。
「付き合って欲しいとか、そんな感じ?」
「・・・へ?」
「え?」
「あ、」
しばらくフリーズした後に、私はハッと我にかえる。告白だけしておいて、満足していた自分に気付いたのだ。
そして1つの可能性が私の頭を過る。
もしも、今ここで付き合ってくださいと言えば彼は付き合ってくれるのだろうか、と。
卒業1カ月前にして人生初の彼氏が出来るなんて、奇跡といっても過言ではない。