【完】ハッピーエンドに花束を
「私、暁人を好きになって良かった」
目の前にいる彼は、ごくりと息を呑む。
そしてどこか私よりも緊張した面持ちをしていた暁人は「俺も、」と、そう言ってまぶたを触っていた手をするりと頬へと移動させる。
骨ばった男の子らしい手だけど、優しいその温もりが心地良い。身体全体が包まれているみたいに安心して、その手に擦り寄った。
そして。
「俺も───芽依のことが好きだよ」
その言葉を合図に、どちらともなく唇を合わせた。
くっついては離れて、その繰り返し。幾度となく経験してきたキスに慣れてきた私はふと目を薄く開く。
すると、暁人は目を細めて私を慈しむような笑みで見ていた。
むず痒くなって距離を取ろうと両手を布団に手を付けた時、逃げ道を塞ぐように彼の腕が背中に回ってくる。
驚く間もなく、かつてないほどに密着する身体。どんどん深くなっていくキス。呼吸すらも奪われるようなキスは初めてで、戸惑っている私に彼はお構いなく次から次へと続ける。
時折自分の口から漏れる、卑猥な水音が耳に届いた瞬間は羞恥心でどうにかなりそうだった。