【完】ハッピーエンドに花束を


 全てが終わって、卒業生は外に出て家族や後輩、友達と記念撮影をしている。
 そんな中、私は教室を出てやってきた場所は告白をした空き教室。
 
 全てはここから始まったのだ。

 人生一度きりの高校生活を後悔をしたくないと、勢いで告白した1カ月前の私。
 当時は秘めた思いを消化したくて、告白だけで十分だと思っていた。
 さらに付き合えることになったことは奇跡と言っても過言ではない。

 今思い返してみても、初対面の同級生の告白を受けた暁人も本当にどうかしてると思う。

 でも、1カ月と期間を設けて始めたこの恋愛は、思っていたものよりも遥かに楽しかった。

 世界が変わった。見るもの全てが華々しく思えた。

 だから、今はちょっと後悔している。あの時告白せずに片思いのまま思い出にしていたら、こんなに別れに苦しむことはなかったのだろうかと。

「こんなに苦しい思いをするなら、告白なんてしなきゃ良かった」

 結局私は高校生活に後悔を残してピリオドを打つことになるらしい。

 空き教室の窓から賑わう外を見下ろしていると、ガラリと音を立ててドアが開いた。
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