【完】ハッピーエンドに花束を

「最初は1カ月だと思って一緒にいたけど、日を追うごとにどんどんめいが好きになっていったんだ」

 だから今日が最後なんて言わないで、お願いだから。そう言って、懇願するように願った暁人。

 あぁ、好きなのは、私だけじゃなかったんだ。その事実を知ることが出来ただけで、もう十分だ。

「まだこれからも一緒にいたい」
「それは無理だよ」
「どうして?両思いなのに?」

 別れる必要はない、と彼は私と身体を離した。私は眉を下げて首を横に振る。

 もうすぐ遠くへ行ってしまうであろう暁人。きっと時間がたっていくうちに、私たちの心の距離も開いていくだろう。自然に消滅して、気付けばお互いの道をそれぞれ歩いているに違いない。

「だって遠距離になるんだよ?きっと向こうにだって可愛い子はいっぱいいるし、私うまくやっていけるか不安になるもん」

 それにせっかく東京に行って新しい生活を送る彼を、縛り付けてしまうことになるかもしれない。優しい彼はそれでもいいと言ってくれるかもしれないが、そうさせてい自分のことを私は嫌いになるだろう。
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