【完】ハッピーエンドに花束を
その後連絡先を交換して、一緒に帰る流れになった。
この3年間知らなかったが、望月くんの最寄駅は私の2つ隣で思っていた以上に家が近いことが分かった。
きっと互いに部活動をしていたせいで、帰る時間がバラバラだったからから今まで気付かなかったのだろう。
学校を出て駅までの道のり。いつもの道を望月くんと肩を並べて歩く日が来るなんて。そう思いながらちらりと横目に彼を見る。関係性が同級生から彼氏になったせいか、一層格好良く見えるから不思議だ。
「どうしたの?俺の顔に何かついてる?」
「望月くんと付き合えたこと、まだ夢みたいだなぁって」
初恋は実らないとは、迷信だったらしい。今まで好きかも?と恋愛が分からないなりにも思ったこともあるが、こんなにもちゃんと恋愛的に人が好きだと思えたことは生まれて初めてだった。
「そう改めて言われると、ちょっと恥ずかしいな」
ふと見上げた横顔はうっすらと色付いていた。照れているのか、それとも茜色の空が映し出されているのか。
どちらにせよ、私には勿体ないと思うほどに彼の存在は眩しかった。