【完】ハッピーエンドに花束を
夕暮れを背に、信号が青になるのを待つまでの間。横断歩道に並ぶ2つの影に、恋人同士となった実感を覚えながらも「告白したのは私からだけどさ、実際何をしたらよく分からないんだよね」とへらりと話を振った。
すると一緒になって望月くんも「そうだね」と、笑みを浮かべる。
「もう学校の行事も卒業式しか残ってないしね」
「確かに。そもそもクラスも違うから、一緒に授業を受ける機会もないもんね」
去年だったら修学旅行とか、体育祭とか、文化祭とか。たくさんイベントもあって、カップルらしいことも出来ただろうなと過ぎた日の事を後悔する。
本当は羨ましかったのだ。
修学旅行で部屋を抜け出して、彼氏に会いにいったり。
体育祭で好きな人を応援したり、体操着で記念写真を撮ったり。
文化祭でおばけ屋敷や模擬店を一緒に回ったり。
学校行事の度に彼氏と約束しているからと、会いに行く友達を何度羨ましいと思ったことか。
「でもこうして付き合えただけでも十分幸せだからいいや」
でも卒業式は一緒に写真撮ってね。そう告げると彼は「もちろん」と快諾してくれた。