カラダの関係は、お試し期間後に。
ソファーに座ったまま半泣き状態で、はだけた胸元を隠す綾乃の姿を確認した葵。
そのまま目を離すことなく、バーテンくんを押しのけて一直線に店内に足を踏み入れた。

「お、おいっ!ちょっとお客さん!」

バーテンくんの存在なんて目にも入らぬ態度で、葵は綾乃のことを見下ろして真顔で話しかけてくる。

「あっれー、綾乃じゃん!こんなとこで何してんの?」

その場の状況にまるでふさわしくない葵の態度に綾乃は困惑するしかなく、引きつり笑いを浮かべた。

「な、何って……あんたこそ、ここに何しに…っ」

超然とした感じで葵は頭をポリポリと引っ掻く。

「今さ、ちょうど会社の奴らと飲んでて2軒目に移動しようとしてたとこなんだけど…」
「ここはもう閉店みたいだし、違う店にするかな」

そう言った後すぐに、葵は綾乃に向けて手を差し出した。

「…何してんだよ、ほら!お前も一緒に行くぞ!」

「…ええっ?」
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