カラダの関係は、お試し期間後に。
「……そんなの、嘘に決まってんだろ!」

「…はぁ?どういうことっ?!」

やっと向き合ったと思えば、葵はギロリと鋭い目で綾乃を睨みつけながら怒りを露わにした。

「お前なぁ…あのバーテン、ここらじゃ有名な遊び人なんだぞ?!俺が行かなかったら、今頃どうなってたかわかったもんじゃねぇ!!男を試すとかどうとかの前にっ、そんな情報ぐらいちゃんと調べてからにしろよ!!」

その剣幕は、綾乃が何も言い返せずに黙り込むほどのものだ。

「ご、ごめん…」

自分の行動が軽率だったことは、綾乃本人も理解していたがゆえの、素直な謝罪。
珍しくしおらしい綾乃の態度に面食らった葵は、子供を叱る親のように深いため息をつくのだった。

「……一体、何がどうなってあんなことになったわけ?お前……アイツに惚れたの?」

唇を尖らせて返答を待つ葵と、目も合わせられない綾乃。

「……違う」
< 27 / 50 >

この作品をシェア

pagetop