カラダの関係は、お試し期間後に。
モヤモヤと煙のようなものが頭を埋め尽くし、気分を変えたくなった綾乃は席を立ってトイレへと向かうのだった。


──トイレへ向かう廊下の途中、談話室の前を通った時に聴き慣れた話し声が聞こえて立ち止まる。

そして、なんとなく扉の隙間から中を覗いてみると、予想通り、葵とその取り巻きの女性社員たちの姿が目に入ったのだ。


「ねぇ桐矢くん、最近ちょっと藤崎さんと仲良すぎない?」
「社内でも“付き合ってるんじゃないか”って噂になってるんだけど、そんなの嘘だよね?!」


自分の名前が出たことで、綾乃はギクッとする。

それと同時に、葵がそれにどう答えるのかを待っている自分がいた。


──ドキドキドキドキ…


「え、俺が藤崎さんと?そんなわけないじゃーん、あんな性悪女となんて!(笑)」


「(な、なんですってぇ?!あンのヤロォ〜ッ…!!)」
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