カラダの関係は、お試し期間後に。
「でも、よく肝に銘じておくよ!ありがとね!」


そう言って女性社員たちにニコニコ愛想を振りまく葵だったが、すぐに態度を変える。


「でもさ、アイツって…実際はみんなが思ってるほど悪い女なんかじゃないよ?」


「(………え?)」


「アイツ、見た目もあんなだし、確かに(したた)かな所もあるから誤解されやすいんだけど……本当はさ、人一倍臆病で擦れてなくて、一生懸命で…不器用なのを必死に隠して取り繕って、強がってるだけなんだ。だから…アイツのこと、あまり悪く言わないでやってくれないかな?」


───衝撃的だった。


「(うそ…かばってくれた…?桐矢……私のこと、そんなふうに思ってくれてたの?)」
 

途端に、さっきまで頭を埋め尽くしていた“葵が自分のことを好きかもしれない”という疑惑が膨らんでくる。

そして、そのことに対する気持ちの(たかぶ)り。
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