カラダの関係は、お試し期間後に。
それは自分の意思に関係なく、心の中をザワつかせながら満たしていく。

しかし、それは数秒後に打ち砕かれることとなるのだ。

そう、他の誰でもない、葵の言葉によって。


「まぁー、俺はあんなガサツで気の強いタイプの女はパスだけどねー!(笑)…恋愛対象外って感じ?(笑)」


葵からのその言葉を聞いた女性社員たちは、綾乃のことを悪く言うのをやめた。

それでも、グサリと刺さった太いトゲは綾乃から抜け落ちることはなかった。


「(アイツのこと、見直しかけた私がバカだった!!)」


トイレに向かって廊下を突き進むその足音が、綾乃の心中を物語っている。


「(…なによ、女の子の前だからっていい気になっちゃって!あの女ったらし猫かぶり野郎!!)」


イライラとは違う、小さな感情を無理やり押し込むように怒りが沸き上がってきたその時、また綾乃のスマホがメッセージの受信を知らせるのだ。
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