先生、私がヤリました。
夜の九時頃です。
そろそろ帰ろうかってリズちゃんに言いました。
ハヅキくんはすごく名残惜しそうにしてました。

「明日も遊べる?」

そう聞いたハヅキくんに「毎日はダメ。」って言ったら目に見えてしょんぼりしてました。

「リズは明日も遊べるよ。」

「ごめんね。毎日は連れてこれないの。リズちゃんには秘密のお友達になって欲しいから。」

「秘密のお友達?」

「うん。実はね、はーくんは今、ヒーローになる為の特訓中なの。この特訓は人に知られたら失敗なの。だから毎日リズちゃんがここに来ちゃうとバレちゃうんだよ。でもリズちゃんは特別。」

リズちゃんは不思議そうに私とハヅキくんを見比べていましたが、それ以上何も言わずに、ハヅキくんにまたねって手を振ってくれました。

私は再びキャリーケースの中に入るようにリズちゃんに言いました。
これもハヅキくんの特訓の為だって言って。

リズちゃんは黙って私の言うことを聞いてくれました。

キャリーケースを閉めてから、次はハヅキくんをケージに入れました。

「リズちゃんをおうちに送ってくるから、待っててね。」

「うん。」

「ごめんね。」

キャリーケースを持ってマンションを出る時、そう言えば変装をしたままだったことを今更思い出しました。

ハヅキくんは何も言わなかったなって、
環境に慣れていくってこういうことなのかなって思いました。
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