先生、私がヤリました。
「お部屋の中を見せて貰っても?」

「強制ですか?」

「任意です。」

「お断りします。」

男の人は軽く溜め息をつきました。

当たり前ですよね。
突然やってきて、証拠も無しに、一人暮らしの女子高生の部屋に上がらせろなんて。
気持ち悪い。

拒否した一番の理由は、ハヅキくんが居るからですけど。

「それってアレですか?」

「アレ、とは?」

「ほら、今話題になってるじゃないですかぁ。幼児誘拐事件。もしかして私、疑われてます?」

「…また何かあればご協力をお願いに伺うかもしれません。その時はよろしくお願いします。」

頭を下げて、二人は引き下がりました。
ドアを閉める時、左隣のドアから微かに音がした気がしました。

私を暇潰しの娯楽に使うなんて、いい度胸してますよね。
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