先生、私がヤリました。
未成年がこういう事件を起こした時、絶対に家庭環境が悪かったとか親の育て方がどうとか言われがちなので言っておきたいんですけど、私は両親が大好きでした。

とても愛されて育った自信があります。
なのでもしもマスコミの人とかに情報を流すなら、私のことはどんな報道のされ方をしてもいいので、両親は立派で、心から娘を愛していたと言ってくれませんか?

え?いえ、泣いてませんよ。
すみません、ちょっと声が大きくなっていましたよね。
ちょっと落ち着きますね。

…私は中三で突然、愛する両親を亡くしました。
キョウダイは居ません。一人っ子でした。

中学を卒業するまでは祖父母の家から学校に通いました。

「どうしても行きたい高校がある。ここからじゃ通えないから一人暮らしをさせて欲しい。」

そう話を切り出した時、祖父母はホッとしていたように思います。

保護者である手前、十五歳の女の子を一人暮らしなんてさせられない、危険だし心配だ。
建前ではそう言いながら、両親…、まぁ祖父母にとっては娘なんですけど、両親を亡くしてはいますが、きっと物凄く私に気を遣っていたのでしょう。

腫れ物のように扱われて、私のメンタルを壊さないように、傷つけないように。
祖父母はとても優しい人達だけど、私が転がり込んできてからはとても窮屈そうに見えました。

父方の祖父母は早くに亡くなっているので居ません。

勉学の為、将来の為。
祖父母は自分達に、世間にそう言い聞かせるようにして、私の一人暮らしを承諾しました。

仕送りはしてくれましたし、家賃も祖父母持ちです。
母方はそれなりに裕福な家柄でしたので…。
物凄くお金持ちってわけじゃないですけど。

私はそれだけで十分でした。
私のことを嫌いなわけじゃない。
その生活費が祖父母から私への償いだとしても、私は心から感謝しています。
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