先生、私がヤリました。
まぁそういうわけで、一人暮らしなんです。

祖父母にはもちろん感謝してるけど、
私は私でやっぱり開放感はありましたね。

祖父母も私も、置かれている状況は同じでした。
悲しいと悲しいが共鳴しあっても、生産性って無いですよね。
あのまま一緒に居続ければ負の連鎖しか生まなかったんじゃないかなって思います。

それで、一人で生活してたから、当然ハヅキくんを連れ込んでも誰にも気付かれることはありませんでした。

監禁?
監禁なんてしてません。

軟禁…くらいにはなるかも?

部屋に入って、私はキャリーケースのファスナーとフタを開けました。

やっぱり少し窮屈でしんどかったのか、
ハヅキくんはちょっと具合いが悪そうでした。

抱きかかえるようにして、ハヅキくんを起き上がらせました。

「ハヅキくん。大丈夫?」

「…おねーちゃん、だぁれ?」

ハヅキくんは私の顔を見て、一瞬怯えた目をしてから、家の前で初めて会った時と同じことを私に言いました。

それもそうですよね。
最初に会った時とは服も髪も、ブーツも脱いでたから身長も全然違うし。

「お姉ちゃんだよ。ヒーローだって変身するでしょ?」

「あっ!じゃあ今が本当のおねーちゃんなの!?」

「そうよ。いつものお姉ちゃんのことはみんなには内緒だよ?バレたら悪の組織に捕まっちゃうからね。」

「うんっ!分かった!」

「ハヅキくんはいい子ね。」

「僕、いい子?」

「えぇ。とっても。」

ハヅキくんは嬉しそうにニッコリ笑いました。
先生の奥さんはあんまりハヅキくんのこと褒めてあげないのかなって思いました。
それかハヅキくんの喜びの表現が大きいほうなのか。
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