先生、私がヤリました。
振り返らないまま、私は歩き出しました。

途中で何度も迷いました。
一回振り返ってみようか?
もう一回校舎のほうに戻ってみようか?って。

でも私はそうしなかったし、先生も追ってこなかった。

多分これが、先生に触れる最後だって分かってたのに、私は戻らなかった。
そうしても先生が私に望んでいることは、先生を忘れてくれることだからです。

パパとママが居て、今も一緒に暮らしてて、みんなみたいにバカなことやって笑い合える友達が居て、同年代の彼氏と普通に恋愛して。

そうしてればこんなことにはならなかったんでしょうか。

変わらず先生が私の担任で、みんなと同じように私の名前を呼んで、家族のことをからかって笑って。

そうしてれば好きにならなかったのかな。

ううん…。
好きになったって、人は人を好きになったからって誰かを誘拐したり殺したりなんかしない。

私がおかしいんですよね。
全部、私が。

きっと。たぶん…。
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