先生、私がヤリました。
「ハヅキくん。」

私がそう声に出した時、二人の刑事さんがピクッと反応を示しました。

「ハヅキくん、おいで。」

数秒待って、リビングのドアがゆっくり開きました。
出てきたハヅキくんを見て刑事さんが顔を見合わせて、ハヅキくんが「だぁれ?」って言いました。

「ハヅキくんだね!こっちに!」

ハヅキくんは動きません。
私は刑事さんに頭を下げました。

「少し待ってもらえませんか。」

「待てないよ。」

「逮捕状は…ありますか。」

「…まだだよ。重要参考人としての聴き込みだったからね。でも今この瞬間、君は緊急逮捕される。」

「でもまだ逮捕状は持ってないってことですよね?五分でいいんです。電話をかけさせてください。」

「誰に?」

「先生に…。お願いします。スマホをスピーカーにしてもいいです。お願いします。」

「君…。」

若いほうの刑事さんが何か言おうとした時、もう一人の刑事さんがスッと手で彼を止めました。

「五分だけだよ。スピーカーにはしなくてもいいけど、ここで話しなさい。」

「ありがとうございます。」
< 217 / 236 >

この作品をシェア

pagetop