先生、私がヤリました。
「ハヅキくん、いくつかお姉ちゃんと約束して欲しいことがあるの。」

「やくそく?」

「一個目。パパが見つけてくれるまで、ハヅキくんはおうちには帰れません。」

「明日も?」

「そうよ。パパが見つけてくれるまでは何日も。その代わり、どんどんヒーローポイントが貯まって、ご褒美も豪華になるからね。」

「ごうかって?」

「すっごくなるってこと。」

「うわぁ!僕、がんばる。」

「うん。頑張ろうね。約束、二個目。このお部屋では大きい声は出しちゃダメ。パパに見つかりやすくなるから。約束守れなかったらお姉ちゃん、怒っちゃうかも。」

「うん…。分かった。」

「偉い、偉い。三個目。お姉ちゃんはいつも学校ってところに行ってるの。これはスパイの潜入捜査と同じよ。」

「さっきの、あの箱の中みたいな!?」

ハヅキくんはキャリーケースを指差しながら、私のほうへ身を乗り出してきました。

「そう。お姉ちゃんはハヅキくんを守らなきゃいけないから、スパイになって敵の動きを監視しなきゃいけないの。」

「かんし?おねーちゃん、危ないの?」

「大丈夫よ。お姉ちゃん、強いから。」

「じゃあ僕も頑張る。」

「うん。だからね、お姉ちゃんがお外に出てる間、ハヅキくんが危なくないように、あの箱の中に入っててね。」

私は、部屋の角のケージを指差しました。
ペット用のケージです。
ネットショップで購入しました。
ハヅキくんくらいだったら楽に入れるし、全然窮屈じゃない大きさです。
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