先生、私がヤリました。
二者面談の日。

最初はみんなと同じように当たり障りない話をしました。

入学後すぐにやった学力テストの成績表のコピーを見せられて、中学の時と比べてどうだ？って訊かれました。

成績はかなり上がったって、私は素直に答えたら、先生は嬉しそうに笑って、「頑張ったんだな。」って言ってくれました。

こう…、なんて言うんですか？
心臓のところに水が溜まってちゃぷんって揺れるみたいな…。

泣きそうとかじゃなくて…。
いや、泣きそうだったのかもしれません。
ドキドキして。

「よっぽどここに来たかったんだな。」

「え？」

「受験勉強、すごく頑張ったんだろ？」

「…他にすること無かったから。」

先生は少しだけ寂しそうな目をしました。
優しい人なんだなって思いました。

人の為にこんなに心を動かせる人を悲しませちゃいけないって思って、私は早口で言いました。

「そうかも！来たかったのかも！そしたら恩師に出会えるって、何となく感じたんだよね！」

なんだそれ、って先生は笑いました。

先生と私しか居ない教室で、窓に西陽が当たって眩しかったです。
先生の顔には少し影が落ちていました。

「でも、一人暮らし気をつけろよ。お前可愛いんだから。」

「え。」
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