先生、私がヤリました。
「せーんせっ!休憩ですか?」

吸水機から水を飲む先生に声をかけました。
全部で五台、横並びに設置されているんですけど、先生の後ろにも順番待ちで何人かの男子が居ました。

先生が美味しそうに飲んでいた水は、吸水口から細く流れていて、逆光でキラキラしていてすごく美味しそうに見えました。

「おー。そっちも休憩か?」

「ううん。私は試合待ちの見学。」

「おい、ちゃんと見学しろよ。」

「お説教ですか?」

「そんなんじゃねーよ。」

先生は水を飲んでいた口を、右手の甲で拭おうとしました。
体操服のハーフパンツのポケットからタオルハンカチを出して先生に渡したけど、先生は大丈夫って言って、受け取ってくれませんでした。

差し出した手がなんだか気まずくて、乱暴にハンカチを戻しながら、並んでた男子を抜かて私も水を飲みました。

「おーい、抜かすなよー!」

私に抜かされた男子が、髪の毛をぐしゃぐしゃってしてきました。
そのせいで結んでいた髪がぐちゃぐちゃになりました。

「やだ、やめてよ!」

私は怒りながらヘアゴムを外しました。
先生は最初、黙って見てたんですけど、
「暴れるなよ。戯れるなら休み時間にやれ。」って無愛想に言いながら運動場のほうへ行っちゃいました。
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