狂女の偏愛
どこでもいい、知っている人のいない高校に行きたいと進路相談で担任に告げた。

見てみぬふりの一人だった担任は私に商業高校を勧めた。

少なくともクラスメイトに希望者はいないから、と。

私はその提案を受け入れ、春から高校生になった。

クラスに親しく話す友達はいなかったけれど、いじめられることはなかった。

薫風香る穏やかな日々。
それが壊されたのは紫陽花が咲き始めた頃だった。
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