とある悪役令嬢は婚約破棄後に必ず処刑される。けれど彼女の最期はいつも笑顔だった。
会場内が、一気にどよめき出す。皆の視線が集まるその先には、古びたローブで身を包んだ人物が、こちらへ向かって歩いてきていた。
「誰だ貴様は!?」
駆けつけてきた騎士達が、その人物の歩みを止めるように立ちはだかった。
――が、次の瞬間、その人物はフッと姿を消し、私の前に姿を現した。
私のすぐ目の前まで歩み寄ると、膝を付き、被っていたフードを降ろして顔をあげた。
「アメリア嬢。大変遅くなり申し訳ありません。今、お迎えに上がりました」
その声は――前回の死の間際に、私の名前を呼んだ声と同じだった。
少し長めの黒髪の隙間から見えた、サファイアを連想させる青い瞳は、幼い頃に会った彼を連想させた。
「エドガー王子……?」
そう呼ぶと、彼は少し照れた様な笑みを浮かべた。
「アメリア嬢、お久しぶりです。覚えて頂けて大変光栄です。ですが、僕はもう王子ではありません。どうか、エドとお呼び下さい」
「な!? エドガーだと!!? なぜウエスト国の王子がここにいる!? それにお前は行方不明になってたんじゃなかったのか!?」
王太子が驚愕の表情でエドガー王子を問い詰めるが、エドガー王子は酷く冷たい視線を彼に向けた。
「ああ、生きていたのか。良かったな、サルウェル。ここにはアメリア嬢を迎えに来ただけだ。すぐに失礼するよ」
「なに!?」
「え……?」
エドガー王子が「失礼します」と一言添えて、私を優しく抱きかかえた。
「待て!! その女は罪人だ!! 勝手に連れ出すなど許さん!!」
「彼女は罪人じゃない。何の罪も犯していない。全て、お前が仕組んだ事だろ?その証拠となる情報を、ある新聞社に渡しておいたよ。明日の朝を楽しみにしておくんだな」
「なんだと!!?」
王太子の表情が一気に青ざめる。
「それでは、失礼する」
エドガー王子の言葉が終わると同時に、視界が切り替わると、私と彼は王城の外へと移動していた。
「誰だ貴様は!?」
駆けつけてきた騎士達が、その人物の歩みを止めるように立ちはだかった。
――が、次の瞬間、その人物はフッと姿を消し、私の前に姿を現した。
私のすぐ目の前まで歩み寄ると、膝を付き、被っていたフードを降ろして顔をあげた。
「アメリア嬢。大変遅くなり申し訳ありません。今、お迎えに上がりました」
その声は――前回の死の間際に、私の名前を呼んだ声と同じだった。
少し長めの黒髪の隙間から見えた、サファイアを連想させる青い瞳は、幼い頃に会った彼を連想させた。
「エドガー王子……?」
そう呼ぶと、彼は少し照れた様な笑みを浮かべた。
「アメリア嬢、お久しぶりです。覚えて頂けて大変光栄です。ですが、僕はもう王子ではありません。どうか、エドとお呼び下さい」
「な!? エドガーだと!!? なぜウエスト国の王子がここにいる!? それにお前は行方不明になってたんじゃなかったのか!?」
王太子が驚愕の表情でエドガー王子を問い詰めるが、エドガー王子は酷く冷たい視線を彼に向けた。
「ああ、生きていたのか。良かったな、サルウェル。ここにはアメリア嬢を迎えに来ただけだ。すぐに失礼するよ」
「なに!?」
「え……?」
エドガー王子が「失礼します」と一言添えて、私を優しく抱きかかえた。
「待て!! その女は罪人だ!! 勝手に連れ出すなど許さん!!」
「彼女は罪人じゃない。何の罪も犯していない。全て、お前が仕組んだ事だろ?その証拠となる情報を、ある新聞社に渡しておいたよ。明日の朝を楽しみにしておくんだな」
「なんだと!!?」
王太子の表情が一気に青ざめる。
「それでは、失礼する」
エドガー王子の言葉が終わると同時に、視界が切り替わると、私と彼は王城の外へと移動していた。