政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「涼成さんを紹介した時に、一度打診をしたことがある、という話題が出なかったのは不自然じゃない?」

「それはねぇ」

 お母さんは眉根を下げて「どうしようかなぁ」と呟く。

「お願いだからちゃんと教えてよ」

 ゆったりと喋るお母さんに対し、語尾を強めて言下に返す。

「景雪さんが一緒の時がいいんじゃないかしら」

「どうせ話す内容は変わらないでしょ?」

 お母さんははぐらかすのを諦めたのか小さく息をついた。

「涼成くんから、その旨は黙っていてほしいとお願いされたの」

 心臓が不快な音を立てて鳴り、鼓動が速足になる。

「いつ?」

「恵茉が涼成くんを家に連れてきた前日。黙っていてごめんね」

 私に隠れて口裏合わせをしていたの?

 誠実とは言えない彼の行動に、胸をぐしゃりと握りつぶされたようなショックを受ける。
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