政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「有給休暇がたくさん残っているので、辞めるまでに消化させてくださいね。口出しはさせませんよ。私をここまで傷つけたんですから」

 最初から異議を唱えるつもりはない。うちの福利厚生の休暇はしっかりしている。

「社長という立場を使ってこれ以上私を貶めようとするなら、おふたりの結婚について皆に全部お話ししますので」

 俺に話す隙を与えず、一方的に意見をぶちまける坪井の暴走が加速している。

 さすがにその話をされると困る。恵茉には説明をすればわかってもらえるだろうが、他人はそうはいかない。

 俺たちがいくら本気で愛し合っていると主張しても信じてもらえない可能性がある。それにこの調子だとあることないこと尾ひれをつけられそうだ。
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