政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
 だって坪井さんとは毎日顔を合わせているんだもの。要は、元カノと交友関係が続いているような感じでしょ。それを気にしないでいられるほど私はできた人間ではない。

 しかも坪井さんの方は未練たっぷりという様子だったので、余計に不安が広がるのだ。

 でも涼成さんは愛人を作らないと最初に宣言していたから、それを信じて坪井さんとの関係については触れるべきではないというのは頭ではわかっている。

 この感じ、土地の売買で何度も繰り返し考えていた時と同じだ。私って考えすぎる性格なのかな……。

 今夜は涼成さんがいないので自炊はさぼり、久しぶりにジャンクフードを食べた。お風呂には好きな入浴剤を使って長く入ったので、気分転換ができていい一日だったと思う。

 缶酎ハイをグラスに入れ、テレビをのんびり眺めているとスマートフォンが鳴った。

 涼成さんかな? と思ったけれど、画面に表示されているのは従弟の(さく)だった。

 朔は亡くなったお父さんの妹の子供で高校二年生の十七歳。私にとって弟みたいな存在だ。
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