政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「涼成さんってカッコいいよね。尊敬しています」

「いきなりどうした」

 恥じらうように可愛らしく微笑みながら伝えられ、拍動が強くなる。

「実は、涼成さんにずっと憧れていたんだ。涼成さんの生き方を少しでも学びたくて、久我不動産の面接も受けたんだよ。落ちたけど」

 衝撃的な事実に息を呑む。

「それは、申し訳ない」

「私の実力不足だから謝らないで」

 恵茉は苦い笑いをこぼす。

「だからね、涼成さんと一緒に生きていける権利をもらえてうれしい。初めて会った日は、あまりにも突然で可愛げのないことを言ったかもしれないけど、これが私の本音。婚姻届けを提出する前に伝えられてよかった」

 清々しい告白は心の奥深いところに真っ直ぐ刺さり、息継ぎが上手くできなくなるほど胸がいっぱいになった。

 まさか俺を慕ってくれていたとは。

 思いがけないプレゼントをもらったみたいで幸福感に包まれるが、それに比例して自分が結婚を申し出た不純な動機が肩に重くのしかかる。

 いいんだろうか。純真無垢な彼女をこのまま俺のものにして。
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