政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「よかった。どこに行こうか? リゾート地だとモルディブとか?」

「え! そんなに長期休暇取れるの?」

「一生に一度にしかないんだし、一週間くらい休むさ。でも九月だとモルディブは雨季か」

 枕元に置いてあったスマートフォンを掴んで、目の前に掲げて画面をタップしていると恵茉が身を寄せてきた。

 画面に表示させたリゾート地についての情報を一緒になって眺める。

「ベストシーズンはハワイやバリ島なんだね。けどモルディブは憧れるし……あっ、雨季でも一日中雨が降っているわけではないんだね」

 目を輝かせている恵茉を見つめていると、胸が温かなもので満たされていく。

 抱き寄せてふっくらとした唇に触れたい。さっき受け入れてくれたからきっと拒まないだろう。ただそうなると、ベッドの上という状況が後押しをして今度こそ自制心が保てなくなる。
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