政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「おやすみ。寝坊したら起こしてくれ」

 予定はお昼前なので自然起床でいいだろう。

「わかった。おやすみ」

 引っ越す前に電話で、寝る時は明かりがないと眠れないと言っていたからアッパーライトはそのままにしておく。

 あっさりと寝る体勢に入った俺をどう思っただろう。恵茉の様子が気になったが、目を開けば内側に潜んでいる獣の部分が露わになりそうでグッと耐える。

 抱き寄せて恵茉の体温を感じたい。だけど大事にしたいから俺の身勝手な感情だけで触れられない。

 できれば恵茉の口から俺が好きだという言葉を聞けてから……いや待てよ。そもそも俺は恵茉に言ってないよな、好きって。
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