政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「……わかりました。エントランスホールでお待ちいただけますか? 駅前ならいくつもカフェがあるのですぐに入れるかと」
「厚かましいお願いで恐縮ですが、お部屋に上がらせていただくことは可能でしょうか? これは本当に、誰にも聞かれたくないお話なのです。涼成さんの沽券に関わると言ってもいいです」
えっ、家?
坪井さんの強気な態度にひるみそうになったが、さすがにそれは頷けなかった。
「涼成さんの許可なしに勝手に部屋にはあげられないです。すみません」
食材が痛んでいないか心配だし、ビニール袋を持つ腕が痺れてきて気持ちがそわそわする。
「んー……問題ないと思うんですけどね。何度かお邪魔していますし」
にっこり微笑まれて心臓がドクンと不快な音を立てた。
いや、でも、秘書なら部屋に入る機会があってもおかしくはない。千石さんと会っていた日だって、坪井さんは涼成さんに付き添っていたわけだし。
そこでふと思う。休日だったあの日、涼成さんはホテルでなにをしていたの? 秘書を伴い、休日にホテルでの仕事があったのか。
「厚かましいお願いで恐縮ですが、お部屋に上がらせていただくことは可能でしょうか? これは本当に、誰にも聞かれたくないお話なのです。涼成さんの沽券に関わると言ってもいいです」
えっ、家?
坪井さんの強気な態度にひるみそうになったが、さすがにそれは頷けなかった。
「涼成さんの許可なしに勝手に部屋にはあげられないです。すみません」
食材が痛んでいないか心配だし、ビニール袋を持つ腕が痺れてきて気持ちがそわそわする。
「んー……問題ないと思うんですけどね。何度かお邪魔していますし」
にっこり微笑まれて心臓がドクンと不快な音を立てた。
いや、でも、秘書なら部屋に入る機会があってもおかしくはない。千石さんと会っていた日だって、坪井さんは涼成さんに付き添っていたわけだし。
そこでふと思う。休日だったあの日、涼成さんはホテルでなにをしていたの? 秘書を伴い、休日にホテルでの仕事があったのか。