私の嘘と彼女の真実
「もう最近、友子抱くのが億劫だし。
反応ねーから途中で萎えるし。
そしたらさ……」
辺り一面を真っ黒に染めそうなほど、暗鬱なため息を和史が吐く。
今日の愚痴は、いつも以上にヘビーだ。
「『かずくん、どこか悪いの?
このままじゃ赤ちゃん、来てくれないよ?
病院、いこ?』」
和史が友子のものまねをし、首を横にこてんと倒してみせる。
普通なら笑うところだが、その内容は少しも笑えない。
「え、それ、酷くない!?」
「だろ。
おかげでプライドズタズタで、この頃じゃ勃たねーし……」
それは、深刻な問題だ。
今度、和史がついたため息は苦悩の色が濃かった。
「なんか、ご愁傷様?」
季実枝と和史がセフレ関係だった頃は、週三くらいでヤっていた。
それも仕事のせいで都合がつかずであって、いつも定時で帰れていたら毎日ヤっていただろう。
それくらい、和史は性欲が強いのだ。
それが勃たないとなると大問題だ。
「なあ。
……同情、した?」
眼鏡の奥からおずおずと和史が季実枝をうかがってくる。
なんとなくそれに嫌な予感がしながらも、正直な気持ちを口にした。
「同情は、した」