私の嘘と彼女の真実
『まさか、友子の親友が季実枝だとは思わなかった』

和史の声は苦笑い気味だが、それはそうだろう。

「でも、友子から私のこと、聞かなかったんだ?」

それくらいありそうだが、なかったんだろうか。

『いや、そういう話はなかったな。
そういや、友子から友達の話が出たのって、これが初めてかも』

まあ、それはそうかもしれない。
季実枝だって和史と付き合っているとき、友人に会うという話はしたが、具体的に名前は出さなかった。
それに和史も季実枝の交友関係に関心がなく、聞かれたりもしなかった。

「ふぅん。
てかさ、これからどうする?
って、他人のフリを続けるしかないんだけど」

『そーだよなー。
いっそ季実枝、友子と喧嘩して友達付き合いやめて?』

相変わらずの和史の自分勝手さに、つい笑ってしまう。

「それを言うなら、和史が友子と喧嘩して破局して?」

『いやいや。
もう両家の顔合わせも済んだし、結婚式もキャンセルできないし。
俺のほうがダメージがデカい』

「私だって十年来の友情にヒビを入れたくない」

はぁーっと重いため息が、ふたり同時に落ちていく。

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