悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「で、でも、いつもは……」

「もしもの時にだけ、見えるところにつけよう。他の誰も、アメリアのここにキスなんてできないように」

首をれろりと舐められて、背筋がぞくぞくと震える。

「そ、んなことする人なんて、エリオット様以外にいな、んぁっ」

チクンッとした痛みが、甘く背を走り抜けた。

彼の下で身体がびくんっとはねた。けれど手を握って押さえつけられているせいで、直後には背中が元の位置に戻る。

「い、今の」

「ああ、綺麗に花が咲いたよ、アメリア」

指でつうっとなぞられて、また声がうまく出なくなった。

「震えて、可愛いな。もっと付けてしまいたくなる」

「だ、だめ。まだ婚約中だから」

胸板を押し返そうとしたが、片腕であっさり抱き込まれてしまった。

「この白い肌も、声も、身体も、全ての俺のものだ」

「エリオット様……? あっ、んん」

大きな手が胸の上を滑った。びっくりした拍子に、キスをされて口を塞がれ、言葉は続かなくなる。

すぐに舌が滑り込んで、荒々しく口内を好き勝手される。彼の大きな手がアメリアの身体をまさぐった。

(いつもより、余裕がない?)

食べ合うようなキスに、呼吸が湿ってくる。

「だめっ」

今が『休憩』であることを思い出して、咄嗟に唇を離させる。

「誰か来てしまったら」

「そういうのは、クラークにでも任せておけ」

「んんぅっ」

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